Introduction
何か一つの目標、仕事などに全力を注いできた人が、突然自分のその道を断たれてしまったら、激しい孤独感で前に進んでいこうとするまでには、とても時間も気力も必要になります。自分の価値が分からなくなったり、自己否定から消えてしまいたいと思う人も多くいると思います。
2020年から発生したコロナの影響で今までの生活が一変し、様々な苦境の立場にある方々が急増し、緊急事態宣言が解除され落ちついているように見える 今もなお、苦しい状況が続いている方たちがいます。その立場にならないとこの辛さはなかなかに理解してもらえないのも事実ですが、本作品に出てくる 主人公香恵と同様に私自身も過去に何度も「消えてしまいたい」と思った辛い経験があり、「生きるとはー死ぬとはー」という命と孤独との向き合い方について 長い間考え続けてきました。向き合ってきた中で、正解が見つかったわけではありませんが、「消えてしまいたいと思ったことのある自分だからこそ、 伝えられるものがあるのではないか……いつか自分が映画に救われたように、辛い状況にある方たちの心に寄り添える映画を制作したい。」そう思う気持ちが日に日に強まり、ご出演頂きたい俳優の方々、 音楽家、制作メンバーの、お一人おひとりにお声をかけさせて頂き、2021年6月制作がスタートしました。
どんな原因でも辛い時、大事にしてきたもの、やりがいをもっていたものを突然失ってしまった時、直ぐに立ち上がることができなくても、人と触れ合うことの 大切さや、自分の中から溢れ出てくる感情は吐き出していいのだということを本作品を通し、伝わってくれればと思っています。 商業映画ではない、完全なる自主制作の映画ですが、制作メンバー全員一丸となって取り組んで参りました。 コロナの大変な状況下の中、一本の映画としてカタチにできたのは、自分の想いに賛同してくださり、常に高い熱量で制作に取り組んでくれた俳優の方々と 制作メンバー、ご協力くださった深川の地域の方々のお力添えあってになります。本当に素晴らしい方々が関わってくださった作品です。 どうか本作品のメッセージが、観るべき人達に届いてくれればと心から強く願っております。
監督 NORIKO